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2016年のAED実施率は?消防庁発表の『救急・救助の現況』を読み解く2017.02.15

救急自動車による搬送人員 過去最高を更新した2016年

総務省消防庁は全国の救急業務及び救助業務の実施状況について、毎年活動報告を出しています。
『平成28年版 救急・救助の現況』が昨年12月に公開されていますので、今年も中身を少し見てみたいと思います。

平成27年中の全国の救急自動車による搬送人員数は前年比1.3%増の547万8,370人となり、過去最高を記録しました(第16図参照)。
1日平均にすると、なんと国民の23人に1人が搬送された計算になります。

この搬送人員数547万8,370人のうち、最も多い要因は急病349万1,374人(63.7%)でした。
この急病を疾病分類別でみると、脳疾患、心疾患等を含む循環器系が多く、58万 3,784 人(16.7%)となっています。
特に高齢者ではその割合が高くなっており、76.3%を占めています。(第21表参照)。

第16図 救急出動件数及ひ゛搬送人員数の推移・第21表 急病の疾病分類別の年齢区分別搬送人員数

救急隊到着までの救命処置が、社会復帰率の向上の大きな役割となる

一般市民が目撃した、心原性心肺機能停止の傷病者数は2万4,496人。
このうち一般市民が心肺蘇生を実施したのは1万3,672人でした。
その後の追跡調査の結果、心肺蘇生を受けた傷病者のうち1ヵ月後生存率は16.1%で、心肺蘇生を実施しなかった場合の9.2%を大きく上回る結果となりました。

1ヵ月後の社会復帰をみても、一般市民によって心肺蘇生が実施された場合の復帰率は11.7%で、心肺蘇生が実施されなかった場合は4.7%でした。この差を見ても、いかに救急隊到着までの間に救命処置を行う事が大切かが分かります。

さらにAEDの使用有無に絞って数字を見てみると、1,103人の傷病者にAEDが使用されていました。
そのうち1ヵ月後生存率は54.0%(生存者596人)、社会復帰率は46.1%という結果が出ました。(第85図参照)

同じ状況で心肺蘇生さえ実施されなかった場合の1ヵ月後生存率9.2%、社会復帰率4.7%と報告されているので、その差は歴然としています。

第85図 一般市民が目撃した心原性心肺機能停止のうち、一般市民が心肺蘇生等実施 の有無別の生存率

近年一般市民によるAEDを含めた救命処置実施率は向上していますが、これをを後押ししている要素の一つが、普通救命講習及び上級救命講習等の普及啓発活動なのかもしれません。
各消防本部が主体となり、応急手当指導員講習、応急手当普及員講習、普通救命講習及び上級救命講習等を積極的に普及しており、平成27年中に消防本部が実施する応急手当講習を受講した人の数は184万9,445人にのぼりました。

誰もが傷病者やその発見者になる可能性があります。もしもの事態に迅速に対応し、一人でも多くの人の救命と、さらに社会復帰を後押しするためには、このような救命講習の普及活動のさらなる広がりは重要だといえることでしょう。

参照:総務省消防庁『平成28年版 救急・救助の現況』http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_3.html