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救命講習が 助け合いの心を育む2017.01.31

〜日本大学習志野高等学校の取り組み 後編〜

生徒と教職員を対象に独自の救命講習を行っている日本大学習志野高等学校。

前回に引き続き、同校の救命講習実施の発案者である平舘宏美教諭に、学校教育における講習の意義やその背景にある想いをお聞きするとともに、実際の講習の様子をご紹介いただきました。

様子

社会に出てからも役立つ 人命救助の意識

「生徒が卒業後も心身ともに健やかに過ごせるように」「もし、人が倒れる場面に遭遇したら、声をかける勇気を持って欲しい」そんな切なる思いから、救命講習を含めた健康教育に取り組んでいる平舘宏美教諭。AED の設置数が増える一方で、その適切な使用方法と心構えをきちんと伝えることが学校教育の役目であると平舘教諭は考えています。

各教室にAEDの設置場所と緊急時の心肺蘇生フローチャートを貼り出していることもあり、少しずつ生徒の意識も向上。AEDの設置場所を正確に把握している生徒も増えてきました。

幸いにもこれまでAED 使用の事例はありませんが、「いつでも、どこでも、誰にでも」の意識を持ち続け、いつ緊急事態になっても困らない準備を心がけているそうです。

様子

救命講習をきっかけに 心臓突然死が「他人事」ではなく「自分事」へと変化

講習では、イントロダクションとして、元気な人でも突然心臓発作を起こして亡くなる心臓突然死について取り上げたNHKの「スポ-ツの現場にAEDを」を視聴。

その後、本編として大阪ライフサポ-トのDVD「たたかう!救急アニメ 救え!ボジョレー!」を視聴しながら、先生役であるボジョレ-のお手本を見た後すぐに、生徒達は実際に体を動かして胸骨圧迫とAEDの使い方を学びます。

胸骨圧迫を疑似体験できるCPRトレーニング教材(通称:あっぱくん)は、人の形が印刷されたトレーニングシ-トを倒れた人に見立てたもので、適正圧力をリアルに表現したハート型の心臓部を正しく押すことで音が鳴るという仕組みです。

生徒からは「胸骨圧迫って意外と力がいる!」「一人で長く続けるのは、結構疲れる!」などの声があがり、胸骨圧迫の大変さを実感しながらも、ボジョレ-の厳しくも愛らしい指導に、会場は生徒達の笑い声に溢れ、和気あいあいとした楽しい雰囲気で講習が進められていました。



講習を受講した生徒たちからは、「少しの勇気を出せば、命を助けられるかもしれないと思った」「心停止は、身近に起こることだと知って驚いた」という感想が多くあり、講習をきっかけに心臓突然死が「他人事」ではなく「自分事」へと変化し、救命意識を変える大きなきっかけになったようです。

胸骨圧迫を一人で行うのは想像以上に大変です。「周りの人と協力することが大切だと思った」という意見も多くあり、一人ひとりが自分の身体を使って体験することで、生徒自ら「より多くの人に救命講習を受けてもらいたい」とより広い視野で救命を捉えられるようになりました。

様子

救命講習拡大の取り組みを支える願い

「『周囲の人が倒れた時に皆と協力し合って救命をすることが当たり前の社会になれば、結果的に自分の命を救うことになる』ということを伝えていきたい」学校現場から社会全体を変えていきたいという平舘教諭の力強い気持ちがここにあります。そして、学校と平舘教諭の意欲的な取り組みへの思い-。


「全国すべての児童・生徒が学校での授業として救命講習が受けられるようにしたいと考えています。昨年から地域の小学校から要請を受け、5年生を対象に特別授業として大阪ライフサポートのPUSH講習を実施しています。児童たちはとても真剣に取り組み、講習を通じて「命の大切さ」「協力することの大切さ」をしっかりと心に刻んでいるようです。小・中・高校と繰り返し、すべての児童・生徒が学校で救命講習を学ぶことで「胸骨圧迫とAED」を身近に感じる、これはこれからの社会に求められていることではないでしょうか」

日本ではこれまでAEDは約60万台以上が販売され全国に普及しています。しかし、AEDを日常で意識することはほとんどありません。さらにAEDの使い方や、心肺蘇生について、十分な教育が施されているとは言い難い現状です。

「もっとAEDや心肺蘇生を身近に感じてもらって、そんなに難しくて怖いことではないんだというのをもっとPRしていきたいなと思います」と平舘教諭。

12月の寒いグラウンドからは部活動を行う生徒達の元気な声がインタビュー中に何度も聞こえてきました。そんな生徒達の元気な姿を守っていきたいという気持ちが、平舘教諭の言葉にはにじんでいました。

必ずしも、講習を教育に取り入れたからといって、すぐにAEDや救急救命に対する意識が向上するわけではありません。しかし、未来を生きる子どもたちのために、日本大学習志野高等学校の取り組みのように、少しずつできることからはじめていくことが大切であることを教えていただきました。

取材協力

 ―取材協力― 

取材協力