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    減らせ突然死プロジェクト事務局長 石見拓先生に聞く Vol.2

もしもの場面で「使えるか」目線での配置が
今後の課題に
減らせ突然死プロジェクト事務局長 石見拓先生に聞く Vol.22014.07.15

減らせ突然死プロジェクト事務局長 石見拓先生に聞く

もしもの場面で「使えるか」目線での配置が<br />今後の課題に<br />減らせ突然死プロジェクト事務局長 石見拓先生に聞く Vol.2

先日公開した、「AED導入10年で見えてきた現場の課題〜減らせ突然死プロジェクト事務局長 石見拓先生に聞く」でお伝えした通り、この10年でAEDは急速に普及していきました。一方、現場では「AEDの利活用」を推進するうえでの課題や限界を感じる場面も見られるようです。

ここでは、「減らせ突然死 ~使おうAED~」プロジェクト事務局長である京都大学 環境安全保健機構 准教授の石見 拓氏ほか、同じく事務局メンバーの千田いずみ氏(京都橘大学現代ビジネス学部 助教)、島本大也氏(京都大学大学院医学研究科 大学院生)に「AED利活用に関する現状の課題と解決への取り組み」について語っていただきました。本記事は全3回シリーズの2回目となります。

※1回目の記事はこちらを御覧ください。
「AED導入10年で見えてきた現場の課題」

そのAEDは「本当に」使えるものか? という視点を

——AED利活用と突然死防止の対策について、現場では課題や限界を感じる部分がある、とのことですが、具体的にはどのようなことでしょうか?

石見:現在のAED普及の裏にある課題は大きく2つあると考えられます。 1つは、「5分以内に救命活動できる場所にAEDが設置されていない」という問題です。

例えば、学校では職員室の近くなどに置かれている場合がほとんどですが、最も使用頻度が高いと想定されるグラウンドや体育館からの距離を考えると、そこが適切な置き場所とは言い難いでしょう。これは、今でもAEDが「非日常の場にあるもの」と認識されていることに起因するのではないかと感じています。

2つ目は、「AEDがあったとしても使い方を知らないため、いざというときに役立てられない」というものです。

こうした状況を変えるためには、関係省庁や団体、そして市民を巻き込んだ動きが必要になるでしょう。10年前にAEDが広まったときと同じように、世論の高まりは不可欠です。

本当の意味でAEDが普及するための課題

石見:これからは、心肺蘇生に興味がない、そうした状況に遭遇すると想像したことのない人たちにも「心肺蘇生とAEDによって、突然死を減らす取組み」に興味を持ってもらえるように働きかけていきたいと考えています。そのためにも、心肺停止が起こりやすい場所や、時期、疾患などに関する情報を発信することが必要だと感じています。

他方、AED一台あたりの価格がもっと下がり、より身近に設置してもらえるようになれば、とも考えています。心肺停止による突然死が起こりやすいのは、実は自宅であり、75%にものぼります。それに対応するために、ホームAEDも広まれば良いかもしれません。その他、トイレや浴室などパーソナルなスペースで発生した心停止も早期に発見できるような技術の進化を願っています。

もっと身近に「突然死」を考えて、一歩踏み込む勇気を

——課題は明確になっているので、社会システムとしてAEDの利活用を促進することは難しくないように感じます。一方、心肺停止や突然死そのものの議論も進める必要がありそうですね。

石見:突然死に関する議論がなかなか盛り上がらないのは、毎年7万人が大切な命を失ってしまうにも関わらず、その体験談が私たちに伝わってこないことにあると考えています。ご家族や身近な人の声と本人の声には大きな違いがあるでしょう。

本人たちの言葉で語られることがなく、それゆえに「今後みんなでどう取り組んでいくべきか」の議論や取組みにもリアリティが欠ける部分があるのかもしれません。

これを打開するためにも、もう一人の当事者である「助けた側、手を尽くした人々」の声は大変重要です。しかし、素晴らしいことをしたにも関わらず、その勇気を自分の口からは言いづらい、憚られる、と思う方が多かったようで、情報共有が難しい部分がありました。ですが、この10年という月日の中で、そうした体験を語ってくれる人が増えてきました。これは状況が変わっていくチャンスとして受け止めるべきです。

日本の美徳である、互助・共助の姿勢で、「救えるかもしれない命を救う行動を起こす勇気」を育んでいきたいものです。

次回記事に続きます

減らせ突然死 AED プロジェクト