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AED実施率は?消防庁発表の『救急・救助の現況』を読み解く2018.01.15

応急手当講習の受講者数、口頭指導実施率、応急手当実施率ともに増加傾向

総務省消防庁は、全国規模で定型フォーマットによる救急救助活動記録を残しており、それを年に1度『救急・救助の現況』という統計レポートとして12月にまとめています。今年も、そのレポートを少し見て行きたいと思います。

平成28年には、約185万人が消防本部の応急手当講習を受講しています。救急隊出動件数、救急搬送者数が増加している中で、依然として消防本部による応急手当講習は、市民による救急救助活動を支える確固たる基盤となっています。又、平成17年からの統計ですが、119番通報後の消防署指令室からの応急手当に関する口頭指導(※1 救急要請受信時に、消防機関が救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、口頭で応急手当の指導を行うこと)の実施率も55.9%まで増加しています。
※1 総務省消防庁の口頭指導の定義 http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h26/kyukyu_arikata/tushinshirei/
slide03_koutousidou.pdf

これらの消防による公共サービスが大いに貢献して、実際の救急現場でバイスタンダー(居合わせた人)による応急手当(胸骨圧迫・人工呼吸・AEDによる除細動)がなされるケースが増えていることが考えられます。平成28年には、バイスタンダーによって心肺機能停止傷病者のうち48.9%もの人に応急手当が施されました。(第61図参照)又、消防のみならず、NPOや民間の応急手当普及活動、学校教育カリキュラム内での心肺蘇生法教育が年々活発化し、それがバイスタンダーCPRの実施率に影響を与えているかもしれません。

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心原性心停止症例におけるバイスタンダーによる心肺蘇生及びAEDの実施率上昇

平成28年中に心原性心肺機能停止状態で救急搬送された傷病者のうち、一般市民によって目撃されたのは2万5,569人。そのうち一般市民が心肺蘇生を実施したケースは1万4,354件。前年と比較すると682件増加しており、平成19年と比較すると約1.5倍にもなっています。また、一般市民によってAEDを使った除細動が実施された件数は1,204件で、前年より101件増加。平成19年と比較すると4.2倍と、大きく向上しています。一般市民が目撃した傷病者のうち、4.7%の人にAEDが使われたことになり、官民一体となった全国的な教育普及活動の一定の効果が上がっているといえるのかもしれません。(第86図)

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119番通報後の救急隊現場到着までの時間が年々伸延しているなか、バイスタンダーによる迅速な対処は、傷病者の1か月後の生存率はもちろん、その後の後遺症のない社会復帰率に大きく影響します。統計でも、「一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者の1カ月後の社会復帰率」は平成19年には6.1%でしたが、平成28年のデータでは8.7%と大きく向上しています。(第82図) この数字がさらに向上するよう、心肺蘇生法に関する教育・普及啓蒙活動のいっそうの拡大が期待されます。

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参照:総務省消防庁『平成29年版 救急・救助の現況』
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_3.html