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安心して人の命を救える 社会の実現に向けて2015.03.30

次の課題は、バイスタンダーの“心のケア”

安心して人の命を救える 社会の実現に向けて

近年、突然倒れた人に対して適切な応急処置が行われるケースが増えています。
2000年に24.9%だった一次救命処置の実施率は、2010年には42.7%まで上昇しました。
その要因としては、2004年に医療従事者でない市民へもAEDの使用が認められたことや、AED設置台数が増加したこと、各地で積極的に救命救急の講座が開かれるようになったことなどが考えられます。
医療従事者でない市民のあいだに救命救急の意識が広がり、救命処置が適切に行われるケースが増えたことはとても喜ばしいことです。
一方で、救命処置の数が増えたことにより、新たな課題が生まれてきました。
それは、偶然現場に居合わせて処置にあたった人(バイスタンダー)への心のケアです。
救命処置に携わったバイスタンダーを対象に実施されたある調査によれば、傷病者が社会復帰したかどうかに関係なく「あの行動が本当に正しかったのか?」という不安を抱く人や、体験を他者に話して少しでも気持ちを理解してもらいたいと考える人が多くいるそうです。
心の問題は、数字で測れない部分が多く、研究や対策が遅れがちです。
現実をみると、バイスタンダーのストレスを和らげるためのサポート体制は、まだまだ整っているとは言えません。

ケアの可能性を示した岡山消防局の取り組み

バイスタンダーのなかには「救急隊が到着したことで安心した」と感じる人も多いため、現場で初めてバイスタンダーに接する救急隊員の役割がクローズアップされはじめています。
平成23年1月、岡山市消防局は、岡山赤十字病院の協力を得て、バイスタンダーフォローアップの取り組みを開始しました。
救急隊員がバイスタンダーに対して連絡カードを配布、もし事後に不安を抱いた人がいれば、岡山市消防局救急課が窓口となり相談を受け付けます。
そこでさらなる対応が必要と判断されれば、岡山赤十字病院がフォローアップを行います。
しかし、緊迫した救命活動中に連絡カードを配布しなければいけないため、取り組み開始直後の2年間は、連絡カード配布率が約48%に留まるなど、その運用に対するさらなる啓蒙が課題となっています。
一方で、フォローアップの取り組みをスタートして以降は、救命救急士の意識が高まり、救急現場におけるバイスタンダーへの気配りが増す傾向にあり、この取り組みがバイスタンダーのストレスを和らげていることは間違いないようです。
今後、全国的なサポート体制が確立し、広く知れ渡れば、医療従事者でない市民が安心して一次救命処置を行うことができる環境が整うはずです。

参考文献:
日臨救医誌 (2013)「バイスタンダーが一次救命処置を実施した際の ストレスに関する検討」
消防庁 (2013)「バイスタンダーのこころのケア〜勇気ある行動に対して〜」