1. AEDトップ
  2. BLOG PCJ
  3. 口頭指導を受けることが
    迅速な救助の後押しに

口頭指導を受けることが
迅速な救助の後押しに2019.04.26

第一発見者の勇気をどうやって後押すか?

口頭指導を受けることが<br> 迅速な救助の後押しに

もし目の前で人が倒れたら...。
救急車が到着するまでの間、あなたは適切な救助活動ができますか?
119番通報はできても、その後どうすればよいかわからない人は多いと思います。たとえ過去に救命講習を受講したことがある人でも極度の緊張状態のなかで瞬時に胸骨圧迫などの手順を思い出し、確実に実行できる人はどれだけいるでしょうか。

そんなときに有効であると考えられるのが、口頭指導です。口頭指導とは、119番に電話をかけた際に、応答する通信指令員が電話口で、胸骨圧迫など必要な処置の指導を口頭で行う事を言います。

アメリカ心臓協会によれば、通信司令員からの口頭指導は実施すべきであると言われていますが、2015年の調査では、救急要請の連絡をした人の半分程度しか口頭指導を受けていなかったとの報告があります。

一方、心停止の患者に心停止が起きてから数分以内に胸骨圧迫をすることで、患者の生存率は2~3倍に増えると言われています。例えパニックになっていても、救命処置に自信が無くても、通信司令員による口頭指導を受けることで、より早く胸骨圧迫を実施すれば、その患者さんが助かる可能性は更に上がる事でしょう。

口頭指導を受ける利点は、例え通報者が心肺蘇生に対する知識がなく、一刻を争う状況においても、何をすべきか的確に指導してもらえる所にあります。また、心肺蘇生のトレーニングを受けている人にとっても、やり方を再確認することができるため、より自信を持って救助活動に取り組むことができるでしょう。

口頭指導で、より適切な救助を

口頭指導を受けることが<br> 迅速な救助の後押しに

電話での口頭指導は、心肺蘇生の知識がない人に対しても言葉だけで指導する必要があるため、救急通報の入電を受けた通信指令員にとっては、指導スキル向上のための教育が必要になるでしょう。例えば、傷病者が心停止しているかどうかを電話での会話を通じて確認をする必要があるため、正常な呼吸の有無を確認する知識とその指導方法も重要なスキルとなります。

実際の現場では、受話器を患者の口元に近づけてもらったりすることもあるようです。また、胸骨圧迫において重要である圧迫テンポについては、メトロノーム音を受話器から救助者に聞かせることもあるようです。このように、口頭指導は、心肺蘇生の知識がない人にとっても非常に重要な意味を持ちます。そして指導を受ける側も、状況を出来るだけ細かく通信司令員に伝えることが、傷病者の生存率を上げるのに役立ちます。

日本のある調査では、口頭指導をしても30%の市民は心肺蘇生を実施しなかったという報告もあるようです。「もし救えなかったら誰の責任?」「悪化させるかも…」など、現場の救助者は、救命方法の知識やスキル問題以外にも、さまざまな不安を抱えてしまかもしれません。

しかし、できることはなんでもすることは、何もしないよりも良い事です。最近では、多くの人がスマートフォンを持っているため、スピーカーフォンにして指導を受けながら胸骨圧迫を行うことも有効でしょう。もし救急現場に居合わせたときは、ぜひ積極的に口頭指導を受けるようにしてください。

参考:
“911 operators should provide CPR instructions, guidelines say” AHA
https://newsarchive.heart.org/911-operators-should-provide-cpr-instructions-guidelines-say/

口頭指導による心肺停止予後改善効果の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/19/6/19_716/_pdf/-char/ja

「JRC 蘇生ガイドライン 2015 オンライン版」日本蘇生協議会
https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/1327fc7d4e9a5dcd73732eb04c159a7b.pdf

博士学位請求論文の内容の要旨及び審査結果の要旨
https://kokushikan.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=13148&item_no=1&attribute_id=63&file_no=1